眼科診療
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ボツリヌス毒素治療
ボツリヌス毒素治療とは?
ボツリヌス治療と聞くと怖いイメージを持たれる方も多いかもしれません。
でもこの毒を薬として使うことができるようになりました。
ボツリヌス毒素には筋肉を麻痺させる働きがあります。この作用を利用して必要以上に動いてしまう顔やまぶたの筋肉の動きを抑える治療がボツリヌス治療です。
お薬用に調整したボツリヌス毒素をごく少量、顔やまぶたの筋肉に注射します。
対象となる疾患
目の病気では以下の3つの疾患の治療法として使われています。
- 眼瞼(がんけん)痙攣
眼の周りの筋肉が緊張して眼を開けていられない、まぶたに力が入りすぎて
ギュッと眼を閉じてしまうなど、自分ではコントロールできない目の周りの筋肉の緊張がおこります。
まず瞬きが多くなり、まぶしいなどの症状がでますが、次第に眼が開けにくくなり症状が進むと、ほとんど眼がふさがってしまう場合もあります。
初めのうちは眼がころころする、なんとなく違和感があるなど、目の乾燥(ドライアイ)に似た症状の場合もあります。
また、これが痙攣?と思うような症状の方もあります。
例えば歩いていて急に瞼がぱたんと閉じてしまうや光がまぶしくてスーパーなどに買い物に行けない。などです。 - 片側顔面痙攣
痙攣が目のまわりだけでなく、ほほや口の筋肉にもおこります。
顔面神経という顔の筋肉を動かす神経が圧迫され、その刺激が筋肉に伝わってしますために異常な動きを引き起こすものです。
目がとても疲れた時も目の下がピクピクすることがありますが、これは眼の疲れ(眼精疲労)による痙攣で、片側顔面痙攣とは異なります。 - 斜視
眼位(目の位置)が左右もしくは上下にずれる状態です。
強く働いている筋肉に注射をすることで筋肉の力を緩め目の位置を調整します。
治療について
片側顔面痙攣の場合は顔面神経の圧迫を解除する脳外科手術がありますが、顔面神経を傷つけてしまう恐れもあります。
ボツリヌス治療は異常な収縮を起こしている筋肉に直接注射し、筋肉を一時的に麻痺させることにより異常な動きを抑えます。
お薬が切れてくるとまた異常な筋肉の動きがでてきます。お薬による作用は個人差がありますが、3~6ヶ月くらい持続します。
症状が戻ってきたらまた注射するということになります。
治療は外来診療中に行えます。
なかじま医院ではたくさんの方にボツリヌス治療を受けていただいております。
眼瞼下垂治療
眼瞼下垂症とは?
眼瞼下垂症とは瞼が下がって視界が狭くなる状態をいいます。
目を開けるためには瞼を上に持ち上げないといけないわけですが、私たちの瞼には常に重力がかかっています。この重力に抗して瞼を持ち上げる必要があります。また、まばたきは瞼の筋肉の作用によるものですが、まばたきの頻度が3秒間に1回であるとすると、1年で1000万回という計算になり、瞼は生涯において大変な重労働をしていることになります。
この重力や重労働に耐えかねた瞼は何十年という歳月の間に、その筋肉の組織が伸びたり、薄くなったりしてまぶたがゆるみ下がってきてしまいます。これが眼瞼下垂です。
眼瞼下垂症の症状
瞼が瞳にかかり見えにくい、上の方の視界が妨げられるなどの症状がある方のほか、一見瞼が下がっているようには見えないけれど、瞼のたるみのために目の疲れや目の奥の痛みなどの目の症状のほかに首や肩のこり、頭痛、不眠など目以外の症状が出ている方には治療が必要になります。
瞼がたるんでくると瞼を持ち上げる筋肉をより強く緊張させることになります。瞼を持ち上げる筋肉を強く緊張させるとこれと連動する額や頭部の筋肉も緊張します。さらに頭部の筋肉の緊張が強いと、それを助けるために首から肩にかけての筋肉まで緊張します。
このようにして瞼のたるみが首や肩のこり、頭痛にまで影響してしまいます。
外見上の特徴としては、軽い眼瞼下垂の場合は、額の筋肉を使ってまぶたを持ち上げることができるために、長年の間に額にしわがよったり、まゆげがつり上がって、まゆげと眼の間隔が広くなったりします。また、眉間にしわがよってしまうこともあります。この他に、二重まぶたの幅が以前より広くなったり、何重にもなることもあります。
当院では明らかな眼瞼下垂の方はもちろんのこと、一見まぶたは下がっていなくてもつらい眼精疲労の原因が眼瞼下垂によるものかどうかなど、詳しい診断のもとに治療をさせていただいております。最近眼が小さくなった、眼が疲れやすいなど気になられることがあれば是非一度ご相談下さい。
眼瞼下垂症の原因
生まれつき瞼を持ち上げる筋肉が発達していない(先天性眼瞼下垂症)場合と瞼を持ち上げる筋肉の瞼についている部分が、薄く長く伸びて筋肉の力がうまく瞼に伝わらない(後天性眼瞼下垂症)場合があります。
眼瞼下垂症を進める原因
・コンタクトレンズを長年使っている
・涙もろい
・花粉症
・女性
など、「目をこする」という行為が多いことが眼瞼下垂症と深く関わっています。
若い人でも目をこする機会が多いと目のたるみの原因になります。
眼瞼下垂症の治療
まぶたを持ち上げる時、上眼瞼挙筋とミュラー筋という2つの筋肉を使います。この2つの筋肉が連動してまぶたを引き上げています。
眼瞼下垂症の手術法は様々ありますが、上眼瞼挙筋のみを折りたたむ方法は術後再発しやすく、上眼瞼挙筋のみを短く切り取って縫い付ける方法では本来の構造を失ってしまうことになります。
当院では眼瞼下垂症の原因となっている上眼瞼挙筋のずれをもとの位置にもどし、ミュラー筋と連動した瞼に動きを取り戻す手術をしています。つまり、崩れてしまった本来の目の構造を取り戻す(再構築)する手術です。
信州大学形成外科の松尾教授は瞼のゆるみが原因で肩こり、頭痛などさまざまな症状が引き起こされ、その鍵を握っているのが瞼を持ち上げるミュラー筋であることをつきとめられました。
ミュラー筋と連動しているのが自律神経です。
ミュラー筋が働いている時、自律神経は活動的な状態になっています。ミュラー筋が休んでいる時、自律神経はリラックスする状態になります。
まぶたがゆるんでしまいますと、ミュラー筋は目を開けておくためにより強く働く必要があり、自律神経は常に活動的な状態になります。
時には活動的な状態を通り過ぎて緊急事態の緊張になってしまいます。
自律神経がリラックスする状態にならず緊張状態が続くと目の症状以外に肩こり、頭痛、さらには不安、不眠、慢性疲労などの全身症状まで引き起こされてしまうのです。
また、当院におきましては、仕事の都合上、手術後数日間の瞼の腫れが困るという方に、簡易的な手術を施行いたしております。
この方法は皮膚を切ることがありませんので、手術翌日から瞼の腫れはほとんど分かりません。
眼瞼下垂の症状、状態はさまざまです。患者さま一人ひとりにあわせて手術方法も選択していく必要があると考えております。
こどもの近視
近年子どもの近視が急激に増加してきています。文部科学省学校保健の調査では、近視による裸眼視力1・0未満の割合は小学校34.10%、中学校56.04%、高等学校67.09%と年々増えています。(学校保健統計調査-平成29年度(確定値)の結果より)
近視とは、近くははっきり見えるが、遠くの文字や物がぼやけて見える状態です。近視の発症には、遺伝的要因(生まれつきの素質)と環境要因の両方が関与すると考えられますが原因はまだはっきりとわかっていません。薄暗い所で目を近づけてテレビゲーム、スマートフォン、読書をすることは近視が進む要因になりますので日常生活に気を付けましょう。
一方、近視に対して否定的にならず、眼鏡やコンタクトレンズなどを使用し、良好な視力でものを見る(見せてあげる)ことは大切です。半年に1回は眼科での検診を受けていただくことをお勧めします。
3歳半検診
生まれたばかりの赤ちゃんは明かりがぼんやり分かる程度の視力しかありません。その後お母さんの顔を見たり、周りの景色を見て徐々に視力が発達します。その時期に視線がそれていたり、ぼやけた像しか見えていないと視力が正常に育ちません。子供の目は8歳くらいまでに大人と同じくらい見えるようになりますが特に5歳くらいまでが特に重要な時といえます。
3歳半ころになると視力検査ができるようになるので3歳半で眼科検診を行います。強い遠視や乱視、近視などがあると視力の成長のさまたげになり放置すると正常な視力に届かないことがあるため、眼鏡(治療用眼鏡は国から補助がでます)などで視力を伸ばす治療をします。検診で精密検査が必要と言われたら眼科を受診するようにしてください。